「やさしい日本語」での伝え方
みなさん、普段やさしい日本語を使ってますか?または、やさしい日本語じゃないなぁ…って思うこともしばしばあるのではないでしょうか。
震災後「やさしい日本語」が普及してきた
震災以降、やさしい、わかりやすい日本語表記が進んだように思えます。また、コロナ禍もあり、さらにわかりやすい日本語表記が進んだようにも思えます。最近は電車での案内もそうなりつつあるようです。
ところで、「やさしい日本語」とはどういう定義かと言いますと、「普段使われている日本語を外国人にもわかるように配慮した、簡単な日本語のこと」*です。
外国人向けに限らず、誰に対しても伝えることが大事なのに、難しい日本語を使ったら、伝えたいことが伝わらない、なんてことも起こりえます。
みなさんが生活する中にはいろいろな案内がたくさんあります。
実は難しい日本語は役所に多い!?
特に役所や公共機関などの案内や掲示物は普段使わない言葉を使ったり、回りくどいような表現だったり、言い回しが堅い表現だったり、やさしい言葉にできるのにあえて熟語で表現してあったりと、とても分かりにくい文章になっている場合もあります。
例えば、
- 召し上がる → 食べる
- 土足厳禁 → くつを ぬいでください
- 高台に避難する → 高いところへ 逃げる(行く)
のように、やさしい日本語を使うと、今まで伝わらなかった方々(子どもや外国人など)にも、伝わる表現になります。
やさしい日本語が使えていないところというと、官公庁が特に多いです。例えば、以下の文をご覧ください。生活保護を受けるための申請について書かれた一文です。この文は厚生労働省のHPに掲載されております。
働く能力がある人はその能力を活用することが保護の要件ですが、現在の状況下において、十分に求職活動を行うことが難しいと認められる場合は、この要件についていったん判断されないまま、保護を受けることができる場合があります。
上記のように、結構難しい文が書いてあります。これは一部を抜粋しただけなので、実際に申請するときは、もっと複雑な文をたくさん読むことになるでしょう。
以下のような言い換えもできるのではないか、という提案です。
働くことができる人は働いていることが保護の必要な条件です。今、職を探すことができないと認められる場合は、この条件にかかわらず、保護を受けられることがあります。
上記のように、やさしい日本語に置き換えれば、理解できなかった人にも伝わる可能性が大きくなります。(もっともっと、やさしい日本語にできる方もいらっしゃるかもしれません。ぜひ提案をお願いします。)
実は、官公庁に勤めている方というのは、高学歴の大卒の方も多いです。大卒の方が多いということは、知らず知らず難しい言葉で表現したり、堅い表現をしたり、と言う状況のようです。
偏差値60以上ないと解読できない!?
ある本で読んだのですが、実は日本人の3人に1人は日本語が読めない?ということらしいです。
世に出回っている表現(掲示物など)が難しい言葉だから難解であるということもありますが、そもそも日本語が読めない日本人がいるのですから、外国人にだけにやさしい言葉を使っている場合ではないのです。
一例にあげたのは生活保護の一部の文章でしたが、これよりも大量のの説明文を読んで、かつ、役所の書類を正しく記入するためには、偏差値60程度の能力が必要になる、という話もあるようです。その理由は、上述につながりますが、申請を受け取る側(官公庁)が高学歴の大卒の方が申請のための説明文を書いていることが多いからです。
そうなると申請できるのはせいぜい5人に1人(偏差値分布:偏差値60以上は15%程度?)になるそうです。
この現実に気づいていないのは、実は社会を動かしているのが高学歴の方が多いというのも現状のようです。高学歴のまわりには同じように高学歴の人しかいないから、(難しい日本語を使っていることに)気づかなくなるのです。
詳しい内容は私も語れる知識がないので、以下の本にお譲りします。
もし、ここまで読んでハッとした方がいらっしゃるようであれば、社内で似たように難しい文章を書いていないか、相手に伝えるときに、難しい言葉で伝えようとしていないか、または社内やチームに閉じた”方言”を使っていないか、横文字を(あえて)使っていないか、などあらためて見つめなおすと良いでしょう。
やさしい日本語で伝えるためにやるべきこと
仕事でモメゴトが起きるときは、必ずと言って、コミュニケーションの問題が潜んでいたりします。
これは「話した」「伝えた」と思っていても、相手には「伝わっていない」というのが現実です。伝えたつもりだけど、相手には伝わっていない、または相手も理解したつもりだったけど、実は理解した(つもりの)ことが異なっていた、なんてことも往々にしてあります。
大事なことは伝えることです。伝えるためには、以下のようなことに注意しましょう。
「相手に正しく伝えること」と「自分自身の考えを整理すること」は同義
自分の意志を伝えるためにも、やさしく、簡潔に伝えられるように日々試行錯誤すると良いと思ってます。大企業にいると特にそう感じる場面も多く、社内の発信文書の意味が理解できないことも多いです。
例えば、解釈が2、3通り発生してしまう場合もあるし、指示が明確のようで(堅い言葉で書かれているため正しそうに勘違いしてしまう)、そうでないときもあります。相手に何を伝えたいのか、どうすればわかりやすく伝えられるのか、常に考えていきましょう。
相手に正しく伝えるということは意外に難しく、正しく伝えられなかったということは、裏返すと自分自身の考えの整理ができていなかったり、そういう場面にも出くわすときもあります。
最後に
私も社内での関係者への説明だったり、社内文書作成だったり、時には難しい言葉を使う必要があったとしても、正しく相手に伝えられる文章になっているか、余計な修飾語はないか、もう一段下げて、簡単でやさしい日本語に置き換えできないか、など考えながら、伝えることをしています。
ぜひ、文字のコミュニケーションがうまくいかないなぁって思う方は、試してみる価値があると思います! (^^)/
*もしかしたらご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、愛知県のホームページに【「優しい日本語」の手引き】が載ってます。実はここに書いた一部の内容は、愛知県ホームページも参考にしながら、私なりに意見を交えてアレンジしてあります。「愛知県」「やさしい日本語」で検索するとヒットしますので、興味のある方はご確認してみてくださいね。きっと良い勉強になると思います!